でんさい・電子記録債権は、電子的に記録・管理される売掛金などの債権のことを指します。これは、従来の手形や売掛債権などをデジタル化することで、企業間の取引をより効率化するために利用されています。
1. でんさい・電子記録債権とは
電子記録債権は、手形や小切手に代わる電子的な債権として、2008年の電子記録債権法に基づいて制度化されました。この債権は、約束手形などの紙媒体ではなく、パソコンなどを使用してオンラインで記録・管理され、電子記録債権・でんさいの受け渡しや譲渡、分割、割引(期日前換金)が可能です。企業が取引の際にでんさいを発行し、それを受け取った側は自己アカウントの電子記録システム上で確認・管理します。
2. でんさい・電子記録債権の特徴
- ペーパーレス: 電子化されているため、紙の手形や小切手が不要となり、管理の効率化が図られます。また紛失や盗難のリスクもありません。
- 譲渡が簡便: 電子的に管理されているため、債権の譲渡や分割が容易です。システム上で権利の移転が行われるため、取引が迅速に進みます。
紙の手形と違い債権の一部分割譲渡も可能です。 - 信用リスク軽減: 電子記録債権は、登記簿のような公的な電子システムに記録されるため、債権の二重譲渡などのリスクを軽減できます。
- 管理の透明性: 電子システムによって、誰が債権を保有しているか、取引履歴が明確になります。
3. でんさい・電子記録債権のメリット
- 取引の効率化::紙の手形や小切手に比べて、処理に時間がかからず、譲渡や資金化もスムーズです。すべてをオンラインで行えるため金融機関や取引先へ出向くなどの手間も必要ありません。
- 手数料の削減::手形の発行・管理・領収に伴う印紙税や郵送コスト、管理コストが削減できます。
- 取り扱いの安全性:物理的な実体が無いため、保管の煩わしさや紛失のリスクがありません。
- 支払期日の管理:紙の手形は支払期日までに金融機関に取り立てに出す必要があり、支払期日を失念してしまう可能性がありましたが、でんさい・電子記録債権はその必要が無く支払期日後に自動で決済されるます。
4. でんさいの利用方法
- 債権の発生::取引先との契約に基づき、債権を電子記録債権として発生させます。
- 譲渡・分割::インターネットを使用したオンラインネットワーク上で、でんさいの割引(現金化)、譲渡、また分割して複数の相手に譲渡することが可能です。
- 支払期日前の資金化:でんさい割引業者などで、支払期日前にでんさいの全額もしくはその一部を支払期日までの利息を支払い資金化出来ます。
でんさい・電子記録債権の割引、資金化 - 支払期日後の資金化:でんさいの支払期日が到来した後に自動入金、取引先から支払いを受けられます。
5. でんさいネットとは
- 「でんさいネット」: 日本では、全国銀行協会のシステムを利用して、電子記録債権の発行・管理が行われています。このシステムは「でんさいネット」と呼ばれており、参加企業はインターネット経由で債権の発生・譲渡・消滅を管理できます。
でんさいの利用者はでんさいネットに加盟している金融機関で専用のアカウントを作成する必要があります。